僕と誰かの狂詩曲(ラプソディー)/月夜乃海花
 
白い病室。様々な器具に繋がれた少女。泣き腫らした母親。最期が近い少女の肌は白く美しく、儚かった。
「そうね。そうよね。」
母親は知っている。娘の父親は戦死したことを。


久々の電報が来た時はついに戻ってきたと信じていた。しかし、電報内容はただ一言。男が亡くなったことだった。無事に帰ってきた片腕しかない男から、父親の遺言を聞いた。急いで母は娘のためにぬいぐるみを買った。戦死した夫の一部の骨以外、何も送られない哀れな母娘。


「ふわふわしたクマさん。わたしのおともだちよ。」娘にはもうぬいぐるみを抱く力は無い。本当は話すのでさえ、辛いだろう。
「ごめんね、ごめんね。」
ただ、
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