ダイスを転がそうと棒を倒してみようと、それで行く道が決まるわけじゃない/ホロウ・シカエルボク
昏倒のような深夜、ブロック塀に書き殴られたイルーガルな単語のいくつかは綴りを間違えていた、まだ十月も終わっていないというのに不自然なほど冷えていて、俺はふらふらと歩き出した最初の目的をすっかり忘れてしまっていた、日常は相変わらずカットされた場面を集めて作った映画みたいで、もの好きですら五分で席を立つような代物だった、でもそのことについてどうこう言っても仕方のないことだ、同じ言語でも違う言葉になりうる、同じハードでも、インストールされるアプリ次第で別物みたいな出来になる、利口なメクラたちが持つものには標準的なものだけが形式的に読み込まれている、「これだけあれば充分だから、他のものは使わないから」
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