三篇の未詩/道草次郎
 
くわたれ


なだらかなものなら何でも良かった
目に和歌を詠んでくれたから

想像はうつくしい
なで肩と高尾山の尾根を
同時に想い浮かべることもできる
ほんとうに
それはうつくしい

救われていくものと
掬われていくものと

一つとして見分けられず
時だけが波状に
同心を喪失しながら拡がっていく



「あなたは今この詩を見つけた」

あなたは今この詩を見つけた

そして
ぼくはあなたの
本当の名前をしらない
暮らしをしらない
好きなものをしらない
困っている事をしらない
大事な人をしらない
信じていることをしらない
苦手なもの
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