詩と詩文(秋の感慨)/道草次郎
 
どうしようもなくダルい苦痛として、体の節々にまとわり付く真綿のような不快物だ。

 母の話に区切りがつくと部屋の戸を閉め、何年も前に古本屋で買ったアラン全集を引っ張り出してきて、少し読み始める。ところが、そのあまりの拙訳ぶりにとても読み進められない。ますます頭痛は募る。ロキソニン錠をコーラで流し込むと、しばし目を瞑り、遠くで電車が過ぎる音にあえて耳を澄ませてみる。

 本棚の端に岩波文庫のアランの『四季をめぐる51のプロポ』をたまたま見つけた。何となしに、ぱらぱらと目を通し始める。よい文章だな、と思う。けれど、神谷幹夫の訳は少しいただけない。もう少しどうにかならないか。でも、これはこれか、
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