詩と詩文(秋の感慨)/道草次郎
 
に部屋はもちろん開け放たれままだ。たしかに竹内まりやが歌う『駅』は自分も好きだ。母の話に耳を傾けながら、どうしても気ばかり焦るのでちょうど手元にあった西田幾多郎の論考をぱらぱらと眺めはじめる。その間、遠くの人と子供の事でLINEをしつつ、バックグラウンドミュージックに現フォの誰かが聴いているらしいブルースを、YouTubeにさがし聴いてみる。時々母との話に冗談を挟んだりして、ちあきなおみ歌うところの『星影の小径』がなかなかいいよ、とこちらからも薦める。そんなやり取りのなか、異なるバージョンの詩を五篇ほど書いたら流石にすこし頭がおかしくなった。目がショボショボして、妙に胸がざわつく。

 母との
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