紅葉狩り/山人
 
家でまったりし、必要な買い物や書店でCDや本などを眺めに行きたい。その誘惑に打ち勝つためにはどうするのか?方法は無いのだが、淡々とその準備をすることで諦めと覚悟が決まる。わずか一〇分ほどの登山口までの車運転時間だが、お気に入りの音源の音を大きくし、いっときの安楽を貪るのだ。
 登山口は晩秋の寂寥があった。当然停車している車は無い。空は鉛色に曇り、幾分だが雨がぱらついていた。雨具を着るべきか、雨が本降りになってから雨具を着るか悩むまでもなく、あまりの気温の低さに雨具を着込む必要があった。
 登りはとにかく早く山頂に着くことを意識し、周りに目もくれずひたすら登ることに集中した。登山口から山頂までの
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