恋人と爆弾/ただのみきや
 
秘密と

その運用をガスオーブンに隠した
子どもたちの足の裏の嘘
剥げ! 吸血せよ!

大勢死んだ船が出た
バッタのように愛はマッチを擦って
貪って悪びれず強情に寄進する

薄くスライスされた思考を透過する
ザラメの煌めき
大気は苦い乳首を噛む





立像

高く澄んだ空の水気に酔いしれて
敷き詰められた枯葉は恍惚と光を仰ぐ
黄金の朝 忽然と
群れから離れた若い鹿のように
あなたは立っていた
あらゆる神秘を内在させた一行詩のように
光はその衣を編み 背の高い影が傅(かしず)いていた
色彩は冷たく沸き立って
美は地獄のように否応
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