重力アリス 〜Gravity not equality〜 第一章(小説)/月夜乃海花
 
て進むことにした。何もなかったように床から壁、そして天井に歩く。すると家具は私から見て普通の状態に戻る。
「なんだ、これで良いじゃん。」
視界が常識的になったため、犬が言ったようにキッチンに向かう。確かに人がいた。
人というよりも、人影だが。その人影はヌルッと動くと私に近づき、触れようとする。ところが影は私に触れることは無く、そのまますり抜けていった。
「はぁ?」
ただでさえ人では無く、黒い人が動いていて、更に話せない。なんだここは。あの世か?
「もういい!知らん!」
私は家を出た。
家を出ると運河が綺麗な港町に居た。
夜の空。星は点々と輝いており、電燈の炎が朱く揺れている。運河
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