重力アリス 〜Gravity not equality〜 第一章(小説)/月夜乃海花
然と呼び方がクーウァルからクオウェルと変わっていった。
「とりあえず、この部屋を出たいよね。どこなのかわからないし、人が居るなら聞かないと。」
私はひとりごとを呟きながら立ってみる。
「このおうちの人はキッチンにいるよぉ。」
クオウェルは立ち上がるとピョンと跳ねて、天井から壁へ移動していた。
「え?」
「なぁに?」
「なんで壁に立ってるの?」
「なんでって?重力かんけいないもん。君もおいでよぉ。」
まさかな、と思いながら壁に右足を置く。すると、なんと言うことだろうか。何も違和感なく歩けるのだ。今、私は床から壁に歩いたのだ。意味がわからない。もう、疑問に感じるのは疲れたので諦めて進
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