重力アリス 〜Gravity not equality〜 第一章(小説)/月夜乃海花
界は何なんだよ。」
私はこの愛敬の欠片も無い犬に問いかける。
「何って、世界は世界でしょお?」
チワワとポメラニアンとトイプードルを足して3で割り、中途半端に余ったような見た目の犬が首を傾げて逆に問いかける。私にはこの世界にどうやって来たか記憶がない。ただ、一つだけ覚えているのは空を堕ちていたことだ。上へ上へ。その時、目には空の青が雲が映っていた。雲を擦り抜けていく。初めは空から地面に落ちていると思っていた。しかし、どう足掻いても地面に辿りつかない。雲を何十回と潜り抜けてひたすら蒼い、嫌なほど蒼い空が続いていた。たまに叫んだり、歌ったり、意味もなく早口言葉を繰り返していてもその蒼に終わりは見
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