重力アリス 〜Gravity not equality〜 第一章(小説)/月夜乃海花
 
第一章 空を堕ちて街灯柱に独り座る者

「はぁ。」
私は今、街灯柱にぽつりと座っている。更にわかりやすくいうと視界は90°回転している。他の人から見たら、私がおかしい状態だ。だって、1人で柱に座っている状態なのだから。
「これからどうすんのぉ?」
犬のクオウェルが話しかける。
「このままじゃあ、どうしようもないとおもうのねぇ。」
尻尾を振り地面から壁へ、そして街灯側の建物の屋根へ登って行く。私とこの犬には重力という概念が無い。一般的には物質には重力というものが働き、地面に立ち、座り、息をするはずなのだ。なのに、私とこの犬はなぜか壁を歩き、天井を歩くことができた。
「結局、この世界は
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