終日秋桜寝る子も起こす/ただのみきや
 
いが





園児

園児を眺めていた
希薄な陰影に
冬とは違う人恋しさが
伏せたままの眼差しを
トランプみたいに重ねさせ
戸惑う終止符
儚い雪に踏む日まで
園児を眺めていた
厚着して手を引かれ
遠く さらに遠く






惜し気なく気前よくばら撒いた
会話の切れ端が床で炭化する
時間は足元から焦げ付いて
興味はあらかたガスになり
通気口から逃げ出していた

あの空の雲の厚い連なりと
触れている蜥蜴の冷たい鼻先
頭蓋の中で口琴が鳴り響く
微笑みのオブラードが透け
真っ黒な猿の燻製





{引用
[次のページ]
戻る   Point(3)