9年前の嫉妬/道草次郎
 
響きほど恐ろしいものはない。それは、残酷に突き刺さる毒棘のようだ。ああ、Bさん、君の横顔に夕陽の光が射して君はまるで輝く美男子。前途洋々の若人だ。それに比べて僕はじつにしみったれたイケてない、変な奴。所属のない人(ぼくは学校を出てよりこの方、何某かの機関に所属した事が無い)、つまりただの人。それでも、いささかの真面目さは得手といえようか?まあそれもいっときのものさ。一枚皮を剥げばたかが知れている人間だ。たかが知れてる人間、なんていう言い方はなんだかずいぶん不毛で虚しいけれど。僕は女性と付き合ったことがない。この事実が僕の、男としての全存在に大きく圧し掛かっているのは、もう当たり前すぎて、ほとんど忘
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