不完全に燃焼する罠/こたきひろし
 
は内の二人はいかにも水商売風でそれなりに年齢がいっていたが、一人は若くて黒髪を長く伸ばし清楚な服装の可愛い人だった。何となく学生的な初々しさを醸し出していた。
彼はずっと気になって仕方ない存在だった。

無事に料理を作り提供するとそれを食した客の四人はテーブルから立ち上がり帰る前にマスターが言った。
 今度うちの店に来たら。
と言って店の場所を教えてくれた。
かなり近い所にあって彼は吃驚した

それから数日した店の休業日に彼はねねの扉を初めて開けた。
運悪く店内には客が沢山いた。
薄暗い酒場には酒の匂いと人の匂いが入り混じっていた。

あいにく黒髪の長い女のこはボックス席に
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