不完全に燃焼する罠/こたきひろし
席にいて若い男の客たちの中ではしゃいでいた。
彼は最初、店員の誰にも気づかれず戸惑っていた。
その内にマスターの眼に止まり声をかけてくれた。マスターはカウンターの中から出て来ると、来てくれたんだと言って歓迎してくれた。
カウンター席でいい?
と言って彼を席に案内した。席にすわるとマスターと代わって女性がそばに来た。
黒髪の長い女のこは相変わらずボックス席にいた。
おしぼりとお冷を運びなから彼の横にすわった女性はいきなり言った。
けいこちゃんモテモテだから。若くて可愛いし、こんな所に場違いなこだから余計よね。
図星を刺されて彼は気恥ずかしくなった。
私みたいなおばさんじゃあな
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