不完全に燃焼する罠/こたきひろし
だけど二人だけでやってるんだから、料理仕込まれたでしよ。その成果を試してくれればいいからさ。
とマスターは言ってくれたから、彼はつい乗り気になった。
するとマスターが女の人たちに声をかけた。
みんな何食べたい?
すると三人はマスターと一緒でいいですと遠慮気味に同調した。
じゃあハンバーグライスにしよう
とマスターが言った。彼は分かりましたと答えながらオープンキッチンの壁に掛かった時計に眼をやって独断で店の看板の明かりを落した。呼びに行かない限り経営者が出て来る心配はなかった。
他に客が入って来ると仕事に差し支えると危惧したからだった。
ねねに勤めている三人の女性の一人は内
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