天国はここ、って歌ってたやつもここからはいなくなったし/ホロウ・シカエルボク
 

そして、ぼくは
そんなこと決して信じないのさ

野良犬がしばらく着いてきた
とくべつぼくに
なにかを期待しているという感じでもなかったから
ぼくもべつに追い払ったりはしなかった
自動販売機で
飲み物を買うために立ち止まると
ちぇっ、やっぱりそうかという顔をして
うなだれてどこかへ行ってしまった
あいつは
ぼくらの世界にすっかりなれてしまったんだな
犬なんて、とくに野良犬なんて
もっと無邪気でいたってだれも咎めたりはしないのに

いかがわしい映像ソフトの店で
無数のタイトルを眺めて歩いた
ときどき
すごく茶目っ気のあるフレーズがあって
それがぼくを
少し愉
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