天国はここ、って歌ってたやつもここからはいなくなったし/ホロウ・シカエルボク
 

多分きみは理解しやしないだろう

古い神社へ向かう
長い階段の途中にある
草ぼうぼうの
錆びたブランコだけの公園のベンチは
けれどこの小さな街をを眺めるには最高で
ラジオで
久しぶりに聴いた
キャロル・キングの歌を思い出していると
ここはそんな
メランコリックな場所じゃない、と
汚い声の鳥が甲高く鳴いた
そうだね
きみみたいなやつが
ここにはたくさんいるもんな

出したくなかった手紙を
ふと思い出して
切手を張って投函してみたら
きみのもとに届くのは
迷わなかった時に比べて
どれだけ
違いがあるのだろう?
違いなどない、と
きみは言うだろう

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