庭の話など/道草次郎
ッスンと倒れたのだ。倒れた幹はちょうどそのとき母が寝ていた部屋の上に直撃した。損害は樋がひしゃげたのと屋根の一部がわずかに破損したのみで済んだが、破壊音がした瞬間、母はついに大地震の到来かと吃驚し飛び起きたそうだ。そのあと母と二人で、「これはお父さんが守ってくれたのか、それとも怒ったのか分からないね」と言い合ったものだ。そんな事もあり、父が存命なら丈夫に立派に育って行けた筈の樹木たちは年々に脆くなり、その結果として倒木の憂き目にあったりするようになった。
しかし、これは生態系における常識なのだろうが、珍しいものや土地に根付きにくいものはやがて他の優勢なものに駆逐される。珍花より雑草のほうが強壮
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