悪の詩集/吉岡孝次
 
さりげない傷口にシビレながら
日曜に組む章句は手癖にまかせている。
逆賊の治世に生まれながら詩を
どこに塗り込めるつもりなのか、本物の悪も知らないままで。


配収のめども立たず木目に埋もれてゆくポスターでいいとは
笑わせてくれる(痛み止めをくれ)。
罪をきっかり悪と取り違えるようなドラマ酔いの、
会員証でも発行しているのか。あの
どんな背景も持たない行員さえこの国に敗北(ま)けている。
僕までもが名門校の学童のように信じていた。
革に籠もる薄刃。学区外の騒擾。どうして手錠の軋みなのか、
悪のたたずまいはそんなところには
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