詩と音楽と酒/ただのみきや
空
色づいた言の葉の
たましいは何処へ
酔奏楽あるいは水葬楽
木影から木影
影の鳥は睫毛のよう
――――胡桃
カスタネットは笑う
女の指にくすぐられた記憶
透過する黄道
薬指に止まった蝶
扇子のアンドロメダ
黒鍵に躓いた
飲んだくれのコサックダンス
傷口から傷口へ
溶けないカプセル剤
――――胡桃?
猫の頭骨は笑う
女の嘘にくすぐられた記憶
溺れる手首
水底へ続く螺旋の鍵盤
木洩れ日のさざめき
フルート 掴み損ねて
耳孔に沈む小さなナイフ
ライオン
ベランダからメスライオン
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