詩と音楽と酒/ただのみきや
 

色づいた言の葉の
たましいは何処へ





酔奏楽あるいは水葬楽

木影から木影
影の鳥は睫毛のよう
 ――――胡桃
カスタネットは笑う
女の指にくすぐられた記憶

透過する黄道
薬指に止まった蝶
扇子のアンドロメダ
黒鍵に躓いた
飲んだくれのコサックダンス

傷口から傷口へ
溶けないカプセル剤
 ――――胡桃?
猫の頭骨は笑う
女の嘘にくすぐられた記憶

溺れる手首
水底へ続く螺旋の鍵盤
木洩れ日のさざめき
フルート 掴み損ねて
耳孔に沈む小さなナイフ





ライオン

ベランダからメスライオン
[次のページ]
戻る   Point(9)