9月30日雑記/道草次郎
 
いものでも見てしまったかのような顔をして、そのまま引き返してしまった。
こんな田舎の図書館、しかも平日のトイレになどまず誰も入ってこない筈と踏んだのが間違いだった。なんだが自分が本物の狂人になった気がして少し恥ずかしかった。
 利用者の殆どが年配者か、そうでなければ若い母親しか居ないという眺めである。ケン・劉の『月の光』を借りて、『三体』で名を成した劉慈欣の表題作でもある『月の光』という短編を辛うじて読む。胡蝶の夢みたいな、面白いようなそうでもないような作品だった。近年の中国文学の隆盛は目覚ましいそうである。現代中国文学とどのような関係があるか不明だが、漢詩を読めたらどんなに素晴らしいかといつ
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