9月30日雑記/道草次郎
 
らくそんなものは一生判然としないだろう。日々はこうして、とにかく、疾走してゆく。この疾走を眺めながら自分は、最初の気持ちに立ち返る。つまり、自然に。もう一度外に出てみる。風はそんなに冷たくはない。曇っていて月は観えない。庭木が黙っている。獣はいない。鳥も。夜気を鼻から吸ってみる。秋の、夜のにおいだ。なんということもない。これが、生きているという事だ。これだけの事だ。取り立てて言う事もない。

 ふいに、色々な人に対し申し訳なく思う気持ちが襲ってくる。母に対しても、兄に対しても、子供に対しても、関わってきた大勢の人たちに対して自責の念を感じる。ほんとうに、そういう人の為にならどんな犠牲も払っても
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