秋耕と幻想/道草次郎
話できるようになって来た具合です。
それで、だいぶ横道には逸れましたが、畑おこしの続きです。最近はずっと体を使っていなかったもので、久しぶりの力仕事に体中の筋肉が笑いました、というつまらない話です。そんなのは秋の空に呵々と笑ってやった、と言いたい所ですが、じっさいはそれどころではありません。玉のような汗の雫が、もったりとした顎から、たら、たらと垂れて来るは怠け切った心臓は早鐘を打つはで、じつにこれ青色吐息でした。
北信濃は既に秋も中旬という風情で、吹く風もかなり冷たく、汗ばんだ背中には寒いぐらいでした。夏ならば、昼日中体力仕事をした際は、直射日光と引っ切り無しの水分の喪失で相当参り
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