熟れた悪意の日々/ただのみきや
 
を取ると歯磨きが丁寧になる
劣化した輪ゴムのように時間を裏切って
ぺしゃんこになった蝙蝠と首っ引きの
甲斐もなく 安酒を買う

瓦解する過去の
なんと朧なことよ
迎える未来などなく
ただ瞬間が上書きされ続け
階段を上り下りする雑踏の
足音から解を求めた
延々連なる方程式
自問自答の音楽に笑い声が身を投げる
散らばったビーズの一粒が
新たな神話を模索している
老いさらばえた仮面の下
雄鶏が鳴くようにぱっくり割れて
祈りより濃く吐いた息
溺れる蟻たちはネオンサイン
瞳を静かに爆撃する
音楽は貝を愛し
耳は盲目の猫を愛でる
アスファルトを打った胡桃の
色彩の
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