熟れた悪意の日々/ただのみきや
 
彩の片言 黒いハンカチを振りながら
あとは惨殺
わたしは感光し白痴化する





徒歩

車は風を追い抜いた
風は自転車と競い合う
自転車がわたしを追い越した
いい塩梅に
風に押されて歩いてる





「ああ」や「おお」は煙草のようなもの

表皮を剥いてしまえば
たましいは
言葉のないのっぺらぼう
震え波立つ欲求に
既成の言葉を並べ合わせ
ことばの意
こころの意
開けば開くほど
冴え冴えと
寒々と
青の彼方
蜻蛉の行方
見つめる虚空に見入られて



                     《2020年9月26日》











戻る   Point(2)