俳諧となり得ぬひずみの詩/道草次郎
 
て空わたる太陽の雁字搦めの噎びを呑んで

(この秋はあんまりかなしい)
ひとり野に立ちこの人差し指を自分だとおもい天につきあげてみる
-静寂-
事事一切微動だにせず
かかる千秋の風を骨身におくるのみだ

お前という歩行の変質体よ
その荒んだ夜景の汗腺よ
めぐりくる
シーズンを踏みしだき
お前は
早蕨のあの季節まで
身を穿ち尽くすことができるか

(それでも天は嬰児を与えたもうた)
往くがよい
はがいじめよりも尚きつく
その鎖骨を巌に縛されたお前は地に降り注ぐ麦の実だ
幾星霜の残照のうちにこそ
この秋の実りは猖獗となり得る…

嗚呼
死人花を往け

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