俳諧となり得ぬひずみの詩/道草次郎
緋い修羅の膝頭となれ
それがお前に落とされた団栗なのだ
嘗て何者であれ
いま此処には撫で肩のうらなりの如何にも辛そうなもったりが顕現するのだ
(しかたのないやつだ、始末におえない)
往こう往こう死地へ
あでやかなる芳しい匂いの花咲く深海へ空明へ
春を待つ
わがこころ
わがこころはひらひらと
ひらひらひらと
蝶のように
こころは夕栄にとらえられるや
牧人と化すを厭わず…
(早蕨のころ、じぶんはいきていたいです)
付記。
一種の廃墟となり果て身を傾けつつあるミニトマト。その殆どが萎びた鈴鳴りである中、ただ一箇所だけに奇蹟的に完璧な状態を留めるひと房の輝きを見出す。その刹那を俳句に収斂することが出来ず、致し方なくここに記す。
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