死と詩と虫と/ただのみきや
ため
零の幽霊が施す刺青の旗です
しじみ汁
味噌汁の中でしじみが溺れている
まじめにしみじみ考えてみる
身近な惨めさが地味に浸みて来る
見ないように意地を張る寂しさの
染みは憶えられず意味のかなめを
しじまへ還す見もせず知りもせず
そしりの中で焦らされる だが今
見よ知れ詩人が自費で溺れている
週に一度
朝日を友達みたいに部屋に入れてしまう
薄緑の安物カーテンに
大きすぎるトンボの影が揺れている
時間そのものが窒息気味で
光を捕まえては燃える柴のよう
静かで心地よい錯乱だった
モンシロチョウが
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)