死と詩と虫と/ただのみきや
リバーシブル
雨の詳(つまび)らかな裸体と
言葉を相殺する口づけ
水没して往く振り子時計閉じ込められて
中心へ落下し続けるしかない時間
1095桁のパスワード
木通(あけび)色の死体
川を遡上する虚言の群れ
瞳の油膜
少女の二乗
ガスの炎
高架下に脱ぎ捨てられたウエディングドレス
瓦解する歴史
琥珀の中の女
繁華街を流離う月
盲目スカーフェイス
拾った亀を鞄に隠した男
リバーシブル
補完する人格としての
詩
通り魔
つなぎトンボが水面を打つ
今日あって明日はもうない
アスファルトの水たまり
決して孵
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