あなたの心が今ある運命を受け入れられず、これから来る悲劇をも自分で決められないことに絶望したなら。/竜門勇気
 
出したときまだ窓からはそんな世界があるだけだった。
救急受付の横のドアの前でガラスの向こうが土砂降りになっていることが分かった。雲の上に太陽がある。それがわかる。空は雲で蓋をされているが、その厚さはところどころ薄くてそこから差し込む光がどこから指しているのかわからないぼんやりした明るさを放っていた。
「もう、おわりだって」僕は母に言った。母は突然殴られた女の人みたいな顔をした。ある日世界で自分以外の人間がひとり残らず死んでしまったらきっとこんなふうに振る舞うのだろうというふうに立ち上がった。妹に電話を掛ける。めいいっぱい早く歩きながら。
どうしたら正解かわからない。正解を選び続ければこんなざ
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