朝 (他六篇)/道草次郎
 
液体は
コチニール色素という
歴とした天然由来の着色料なのだ
ということを
つい先程知った

サルスベリは百日紅とも書く
これは
花の咲く時期が長きに亘ることから
そういう字が宛てられたことと思う
昨日
近所を歩いていると
二本のサルスベリに出くわした
それぞれに微妙に色の異なるその花は
片や
まっとうなよく見かける紅
もう一方のは
先の紅の濃さを半分ほど抜いた所に
薄桃色を数滴たらしたような色をしていた
自分の好みは後者だが
そのどちらにも
季節の小鳥は舞い来て
細い枝を休み処としていた
小鳥がチュンと鳴くたび
円錐花序と呼ばれるもっさりとした花の
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