秋風遁走曲 他四篇/道草次郎
 
面を
グイッと斜めや下や左や右やの方向に
無理やり捻じ曲げたり
推し広げたり裏返したり破り捨てたり
してみることぐらいしか
できないオレ
オレはこういう嫌な感覚を書くことで
オレの中にどんな清潔な風を興すのだ
そしてそれを世間に晒すことで
オレの中に
どんな新しい感情を投下するのだ
尽くすこと
し尽くすことをしている詩人やらがいる
そういう人達をオレはみた
その人達は猛毒の霧のなかをのたうち回りながら駆けずり回っていた
それでも自覚的に自らの臓物を解読していた
その人達が
少女と生理学と哀しみと聖餐と数限りない虚数論へ飛び込んでいった後姿をオレはみた
振り返らず
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