秋風遁走曲 他四篇/道草次郎
 
らずその人達は走り続けた
疾い蛇のようだった
しかしオレはオレのやり方をしてしまう
オレのやり方とは
それは何か
それはオレの竦んだこの両脚を詩文で縛って滝に身を投げようすることだ
その滝は何か
滝は滝だろう
ただの滝だ
それを滝でなくもっと違った凄いものだという程にオレはくるってはいないだろう
滝がある
そこでオレの思考は停る
オレは
オレのこの有りようを分析すまい
詩文ですくい取り
ぱちゃぱちゃいうビニールプールや
死海や
エンケラドゥスの深層海に
放つまい
滝は
それは大したものでは無い
それを一言で言ってしまっても
世界はいっこうに困らない

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