夭折/ただのみきや
れられず
思い出せない歌よ
言葉は密に堆積し黒く塊となり
ぽっかりと空洞を抱いたまま
目的の知れない古代の土器
なにを入れるのにも適さない
空ろ それこそが心だった
空ろ それ自体が女だった
己の内に鳴り響く無形のものの
金型となるべく書き続けたのだ
四季色彩
紫陽花は色味を変え
ナナカマドは実を染める
濃くあるいは淡く
失いつつ鮮やかに
枯れ果てて黄金に
重なり合う豊潤の
間(ま)の間(はざま)に溢れ
暦からしな垂れる
薊は白く生を終え
葡萄は夢を太らせる
若木
丈低い桜の
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