夭折/ただのみきや
繰り返し口ずさむ
女の声は見えない
忘れられず
思い出せない歌よ
見知らぬ恋の夢から覚めて
空(うつ)ろへと去り返らない
木霊を探し幾つもの
詩歌の籠をこさえたが
それはヒマラヤのよう
冷やかな悲哀を頂く
峻厳な絶望の山々
空ろを囲む心の内壁
繰り返し口ずさむ
女の声は見えない
忘れられず
思い出せない歌よ
預言だったか あれは
事柄ではなく魂の
旅の変遷を比喩にして
響きの生を吹き込まれ
預言 あるは呪
女神も魔女も通り過ぎる
全ての女の中に顕現し
留まることを知らない
繰り返し口ずさむ
女の声は見えない
忘れら
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