いずれすべては跡形もなくなってしまうけれど/ホロウ・シカエルボク
としてこうしてもがき続けている、こんなじめついた夏の夜にはいつも同じ夢を見る、同じ場所が出てくる、同じものが生きている、でもそれがどんなものなのかなんて決して思い出すことは出来ない、かたちにならないものばかりが俺を掻き立てている、そこには耐えがたい引力があり、そして報われない、すべて分かっている、でもそんなことは問題にする気もない、結果や成果に囚われるくらいなら、そこらの連中と同じように俗にまみれて澱んだ目をして常套句を繰り返して生きて行けばいい、そして俺は一生そんな人生を許容することは出来ない、真面目さだけに振り回されて死んだ父親が幸せだったとは思えない、曲がりなりにも陰鬱な家を残し、母親と生き
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