詩人/道草次郎
んスズムシにもできない。
ぼくは自分が何もかもから逃げて来たわけでは無いと信じている。ぼくはある時は逃げて姿をくらましたけれど、またある時は逃げずに済んでそれと向き合った。どんな風にそれと向き合ったかは一々覚えていない。
けれども、向き合ったとしてもどんな風にそれと向き合ったかがじつは大事で、その向き合い方が良くなければ、ぼくはあらゆる場面で全部逃げたのと変わらないのかも知れない。
こういう考えはたいていおかしいと言われるけれど、間違ってはいない。そのことに殆どの人は本当は気付いていて、でも、向き合ったという事実だけを無責任にも讃えがちだ。
ぼくも含めて人間などみんな似たり
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