李家の人々/ただのみきや
呼吸され養分となり
シロツメクサやツユクサで眼孔をいっぱいにした
鋸を引く音が天井から響き
裏返った文字が埃のように降って来る
星の距離ならすべてが冗談だったろう
一輪の芥子が瞬きもせず虚空を見つめて肥えるように
双子は母を吸い尽くす窓の外の押入れだった
首を捻じりながらゆっくりと扇風機が倒れて行く
一つの台詞を意味が失われるほど繰り返し
米櫃から溢れた米は不正を叫ぶ群衆になる
それら全てが言葉の絵札を繋ぐ神経衰弱だった
(あ…し…る?
(あ…し…る
真珠のように固く閉じ輝きを汗のように洩らしながら
全ての螺旋は重力の底へギリギリと捩り合わされる
母とい
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