李家の人々/ただのみきや
 
れては雨の素足で
  近づいて来る
  夜の満潮のように
    見えない聞こえない
    見ることも聞くことも忘れ果てて

 それでも夢想し仮定する
  在り様の全てを喪失して尚
   静電気に呼ばれる綿毛のよう
    こころはこころを引き寄せると





持続性

石の思考
雲の眠り
夢の中で明かされた秘密
目覚めによる無罪放免

空に浮かぶ水
海に溶けた空気
大地の呼吸
大地の唾液
地中深く燃える火
夢で刺す現実
潮干狩り
黙した貝が開示する夢
生に欹てる死の心音
死者のぬくもり
吾子の骸に耳を当てた
――記憶

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