李家の人々/ただのみきや
 

   「今」の持続性





寝落ち

風の強い朝
歩きながら眠りに落ちかけた

――このまま何もなかったように
夢の中を歩くのだろうか

あぶなっかしい だが
再び目覚めなければ問題ない





幸せキノコ

薔薇色の未来も
虹の向こうの世界も在りはしない
欲しけりゃキノコでも食うことだ
生きることは労苦の積み重ね
そんな労苦に何時しか馴染み
張り合いみたいなものを感じるか
休息するときは素になって
飲み食い快楽を報いとするか
あるいは共に過ごす人々を見つけ
世話を焼いたり焼かれたりと
関係性の中に価値を見出す
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