足音が聞こえないやつこそがいちばん長い距離を歩いている/ホロウ・シカエルボク
い
顕微鏡で世界を覗いてもでかい蟻が見えているだけだろう
俺は多分
俺自身を曖昧にしたいんだろうと思って
こんなことを書いている
本当はこんなことをするのに存在なんて邪魔なだけなんだ
俺の言ってる意味が分かるかい
俺にとってこいつはおそらく
瞑想の果てに観る世界みたいなものなのさ
配列し直される脳味噌、必要な記憶と感情の組み換えなのさ
命のないところ、人生のないところ、名前のないところに
俺の語るべき言葉がある
そう思えるのは楽しいことだぜ
だって一生追いかけられるって保証されたようなもんじゃないか
インプロビゼーション、ある日突然に始まり
ある日突然にゆっくりと終わ
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