残熱/道草次郎
かと思ってしまった。
Uさんは次回作を期待してくれたけれど、それはやんわりと断らざるを得なかった。何故なら一緒に介助をしているパートナーの目が以前に増して恐ろしかったのだ。パートナーが一部始終をチクったのは間違いなかった。
それからしばらくてぼくは心身の不調に苛まれることとなりホームヘルパーの仕事を休み勝ちになった。そんなある日、ボロボロな古本屋の店頭で叩き売りの文庫本を渉猟していた時に、たまたま例のパートナーと出くわした事があった。
パートナーはヘルパーが使う電動自転車に跨ったままぼくに声をかけた。ぼくは幾らか気が動転し、何故こんな所でブラブラしていたのかと後悔した
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