9月1日 曇り時々晴れ/道草次郎
のだから。いや、それは間違い。人間というのは昼飯を食べなくても構わない。ぼくの胃袋がそれを欲するし、生活の決まり事がそれを要請する。生活の要請に素直に従うことほど、大切なことはないよ。
トマトの種のあのぐにゃあとした部分が嫌いな人がいるらしいけど、ぼくはあのぐにゃあがなくなればトマトがトマトの本質を損なうとまで考える。そう考えながら今はトマトを食べている。トマトを食べるにもこんな余計な思考が纏わりついてはトマトもつまらないだろうな。畑に行ってみればいい。トマトのやつはそりゃあすごい仏頂面。なにもかも気にいらないぞって顔をして、存在様態自体を呪詛している。農夫はおっかなびっくりチョキンと切って
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)