千億の花火/済谷川蛍
 
てほぼ全ての客が揃った頃にはもはや歩行スペースも消えていた。
 刻は来たれり。照明が消された。人々が一斉にざわつく。始まるぞ始まるぞとそこかしこで声が聞き取れ、それがまた会場の雰囲気を盛り上げる。とそのとき、会場のどこかで正確な開始時刻を知っているらしき者がカウントダウンを始めた。すぐに同志がその秒読みに加わり、それはそこかしこに伝播して、五秒あたりで会場全体が同時に秒読みをした。

 五、四、三、二、一

 たーまやー!

 会場の興奮が最高潮に達したとき、会場全体が地震のように小刻みに揺れだした。轟々と雷のような爆音が響き渡り、人々が一斉に歓声をあげて指をさした鬱蒼と生い茂る森の
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