千億の花火/
済谷川蛍
森の向こうから、程無くH2Aロケットの先端が現れた。それは遥か蒼穹へと噴きあがり、ロケットブースターを二度華麗に切り離し、お月様と背比べをした時分、突然精根尽き果てたかのようによれよれと、青息吐息のロケットさん、脱線曲線もう行けん、それでは皆様さようならとばかりに下腹部辺りの小さな日の丸から火花を散らした刹那、盛大な爆音とともに見事な大柳を咲かせてみせた。
千億の血税が弾け飛び、場内割れんばかりの喝采である。
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