父親/道草次郎
み笑いが張りついていた。
二人は振り向いて顔を見合わすと少しだけ笑って頷き、後は何も言わずにふたたびアルバムの写真に目を落とした。
父親は手に持っていたおしゃぶりを流しに置き、洗っていない哺乳瓶を洗うおうとしたが思い直し部屋の方へ取って返すと、ドアの細い隙間から母親にこう尋ねた。
「次のミルクって何時かな?哺乳瓶の洗浄いました方がいい?」
母親はおっぱいをくれながら顔を上げず、「8時かな、分からない。そういうの、自分で考えてくれる?」とだけ言った。
「あ…、だね。」父親はそれだけ言ってドアを閉めた。
午後もだいぶ暮れてきており、時刻はもう五時を過ぎようとしていた
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