父親/
道草次郎
いた。相変わらず二人の義理の家族はアルバムを眺めながら昔話をしていた。
「おっぱい中です」父親はちょっとだけ悪戯っぽく口に人差し指を立ててみせた。それを見た妹だけは同じように悪戯っぽくうなずいてくれたが、祖母はしきりにアルバムに齧り付いてうつむいたままだった。
父親は覚られないように深呼吸をすると、洗い掛けの哺乳瓶がある流しへと引き返した。それはちょうど、西側の磨りガラスの窓から鈍い光が射し込んできている時のことだった。
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