厭離穢土、欣求浄土/飯沼ふるい
 
災よ祓われた
まえと念じながら炎の唸りを聴いてい
る。(人がひとり剥がれ落ち、走馬灯
に照らされた肺腑の蛆がのたうち回っ
ている。恋人との別れを決定付けた
(言語の都市に産まれいづる、メール
を撫でたのと同じ指紋で詩を打った。
打てば打つほど蛆は潰れて、(意味の
与へられてゐない存在、それを餌に新
しい蛆が沸いた。

(その悦びと、ちくしょうインテリジ
ェンス。こんな思い出ばかりしか浮か
ばないのは宇宙人の仕業か、あいつの
話のせいか。いつの間にかこの世から
見えなくなったジジイにはなにが見え
て、なにが見えなくなったのか。ウソ
をついたぶんの三倍は正しいことをし
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