夜の始まりに甘いケーキを/ホロウ・シカエルボク
 
る、なにか意味があるのだ、でなければ俺の先に立ってずっと歩いたりはしない…道はさらに細くなり、そして上り坂になって行った、この道はそれまで歩いたことはなかった、開けて、小さな街の夜景が見下ろせる開けた場所に立ち止まって犬は俺を待っていた、それからは前後に並んでずっと歩いて行った、数十分はそうして歩いただろうか、場違いに思えるほど綺麗な住宅が一件だけ建っていた、玄関の扉は開かれたままになっていた、犬は、少し歩いては振り向き、少し歩いては振り向いて、こっちだ、という顔をした、俺は犬についてのんびりと歩いた、玄関には腕と、太腿と頬を欠損した若い女の死体が転がっていた、ああ、と俺はため息をついた、「食った
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